「不妊」とは、妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交しているに関わらず、1年以上妊娠しない場合のことをいいます。
不妊治療の原因から費用までを徹底解説しています!
不妊症の原因について
排卵因子・子宮因子・卵管因子・頸管因子・男性因子があります。
これらの原因が重なり妊娠が成立していない場合が多くあります。
検査により原因が分かるカップルは全体の60%ほどで、はっきりとした不妊原因を特定できないカップルも多いです。
近年は、妊娠を考える年齢が上昇していることもあり、妊娠機能の低下が原因になっていることも少なくありません。
日本生殖医学会では35歳以上の女性が6ヶ月以上妊娠に至らない場合は、早期治療開始を提示しています。不妊が心配な場合、早めに不妊治療専門医に相談しましょう。
- 女性側の原因
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排卵因子・卵管因子・子宮因子・頸管因子
- 男性側の原因
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機能不全・精路通過障害・造精機能障害・副精器障害

不妊の原因別治療方法の種類
検査によって原因が明らかな場合は、手術や薬物療法によりその原因を取り除きます。
不妊の原因が明らかな場合
- 排卵因子
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ホルモンバランスに問題があるため、卵胞が育たない・排卵しない・排卵が遅いことが原因です。そのため薬を使用し、足りないホルモンを補うまたは抑えることで卵胞の発育・排卵を促します。
- 排卵誘発剤などの薬物療法として服用や注射薬があります。保険適用もあります。
- タイミング療法や人工授精をしながら薬物療法を行います。
- 頸管因子
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子宮頸管の炎症などや管粘液不全、精子への免疫異常である抗精子抗体があります。
- 子宮頸管の炎症などには、抗生物質にて治療します。
- 頸管粘液不全の場合は、ホルモン薬や人工授精を行います。
- 抗精子抗体陽性の場合は、体外受精の顕微受精を行います。
- 卵管因子
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卵管の閉塞や狭い場合があります。
- 卵管鏡下卵管形成術(FT)にて通過障害のある部位にチューブを通し広く押し広げ開通させる手術をします。保険適用あります。
- 術後の数周期は特に妊娠しやすいため、タイミング療法や人工授精を行います。
- 上記でも妊娠しない場合は、体外受精へ進みます。
- 子宮因子
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着床を妨げている子宮にできた筋腫やポリーブを取り除く手術を行います。子宮内膜症や子宮腺筋症の場合は、その度合いによって薬物療法から手術までが適応となります。
- 腹腔鏡手術、開腹手術、薬物療法
- 手術後は、タイミング療法・人工授精・体外受精を行います。
- 男性因子
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薬・サプリメント・漢方・手術を使うことで精子所見の回復を見込みます。
- 性機能障害には薬物療法をし、それでも改善なければ人工授精・体外受精を行います。
- 精巣静脈の血液の逆流により起こる精索静脈瘤により精巣機能低下がある場合は、逆流している血流を遮断する手術を行います。
- 精路通過障害の場合は、精路が塞がっている部分を除き再建する手術を行います。その後自然妊娠ができない場合は、人工授精・体外受精を行います。




不妊の原因が不明の場合
検査をしてもはっきり原因が分からない場合は、妊娠の可能性を高める治療を行います。
- タイミング療法
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女性側の卵管が塞がっておらず、男性側も問題ない場合に適応されます。通院回数は月に3回程度です。
経膣超音波検査にて卵巣内の卵胞という卵子が入っている袋の大きさを測定します。それにより、排卵日を予測して性交のタイミングを合わせる治療法です。
卵胞の直径が約20mmになると排卵するため、計測し排卵日を推定します。補助的に尿中や血中の排卵を促すホルモン(LH)を測定し、排卵日を予測することも可能です。排卵日の2日前から排卵日までに性交渉をします。
- 排卵誘発法
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排卵のない方や排卵が起こりにくい方に、内服薬や注射薬により卵巣を刺激して排卵を促す方法です。タイミング療法・人工授精・体外受精などの生殖補助医療の際に使用します。
出典:レディースクリニック北浜 - 内視鏡手術
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子宮鏡手術では、妊娠の妨げになるような子宮内ポリープや子宮筋腫を切除します。卵管鏡手術では、閉塞している卵管にチューブを通して通過させて、自然妊娠の可能性を高めます。
- 人工授精
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精子の濃度や運動率が低い男性不妊症が主な適応となります。女性側は、卵管が塞がっていないことが条件です。
洗浄濃縮した運動性の良い精子を0.2~0.5ml程度チューブに用意し、排卵日の1~2日前に子宮内に直接注入します。
人工授精での妊娠率は、施行回数6回程度です。それでも妊娠に至らない場合は、次の段階へ進みます。
人工授精の副作用として、出血・腹痛・発熱があるため、3日程度抗菌薬を内服します。
出典:浜松町第一クリニック - 体外授精・顕微授精
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卵子と精子が自然に受精できない受精障害の場合に適応されます。その他、他の治療により妊娠ができなかった場合に行われます。不妊治療の中で最も妊娠率が高い方法です。
膣から卵巣に針を刺して卵子を採卵し、体外にて精子と受精させて、適した時期に受精卵を子宮内へ杯移植します。
顕微授精は、卵子の中に直接一つの精子を注入し受精させる方法です。
体外受精 顕微授精 出典:浜松町第一クリニック
不妊症治療にかかる費用について
2022年4月より不妊治療の保険適用が開始されました。これまで自費でかかっていた人工授精や体外受精・顕微授精、男性不妊症まで保険が適用され、経済的負担が激減しました。
≪生殖補助医療の保険適用条件≫
対象年齢:治療開始時の妻の年齢が43歳未満
- 40歳未満
→1子ごと胚移植6回まで
- 40歳以上43歳未満
→1子ごと胚移植3回まで
下記のいずれかに該当すること
- 婚姻関係にある
- 事実婚である
- 重婚でないこと
- 同一世帯であること
- 治療の結果出生した子について認知を行う意向があること
治療 | 自己負担額(3割) |
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タイミング法 | 750円 |
人工授精 | 5,460円 |
生殖補助医療管理料 月に1回 | 750~900円 |
採卵術 | 16,800~31,200円 |
体外受精 | 12,600円 |
顕微授精 | 14,400~38,400円 |
受精卵・胚培養管理料 | 13,500~31,500円 |
胚凍結保存管理料 | 15,000~39,000円 |
胚凍結保存維持管理料 年に1回 | 10,500円 |
新鮮胚移植 | 22,500円 |
凍結・融解胚移植 | 36,000円 |
精巣内精子採取術 | 37,200円 |
精巣内精子採取術 (顕微鏡にて) | 73,800円 |




まとめ
少子高齢化がすすんでいますが、子供がほしくてもできないカップルもたくさんいます。
不妊症の治療の保険適用が増えたことはとても喜ばしく思います。すこしでもはやく不妊治療をすることで子供ができる可能性のも上がるため、もしかして不妊症かも?と少しでも思ったときは、まずは相談しに行きましょう!
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