何の問題もなかった妊娠期。私は経験と麻酔を武器に、チート勇者Aとなった。
2022年夏、私は第二子となる次女を出産しました。妊娠中は特に大きなトラブルも酷い悪阻もなく、「このまま出産まで楽に終わっちゃうんじゃない?」と自らのチート運を確信するほどスムーズに出産を迎えたのです。また、私は第二子で初めて計画無痛分娩を選択していました。メリットもデメリットもいろいろと調べ比較し悩みましたが、長女がいることから産後の回復が早いというメリットを考慮しました。しかし一番の理由は「痛いのはもう嫌だ。」この一言に尽きます。何を隠そう、第一子は5分間隔の痛みを140時間以上耐えて生んだ経験があるからです。しかし今回は違います。なぜなら私は異世界転生ノベルよろしく「経産婦」「麻酔」「無マイナートラブル」のチート属性で出産に挑む勇者Aとなったからです。そして臨月に入った勇者Aは、出産体験談を読み込み、安産エピソードに自己投影する日々を送ります。経験(経産婦)と武器(麻酔)があれば、出産という名のボス戦なんて楽勝だと思っていたのです。そう、ラストステージ(分娩台)に辿り着くまでは…。
コロナ第7波により、直前で立ち合い&面会が全面禁止に!孤独と闘う出産へ…
夫も二度目の立ち合いを楽しみにしていたのですが、入院の直前で運悪くコロナ第7波が始まりました。産院は「立ち合いおよび面会全面禁止」へ無念のルール変更。夫婦で落胆したものの、病院にいる母子の安全が第一なのは当然です。勇者は孤独な戦いに挑むことになりました。
そして迎えた入院当日、私は初産時とは比較にならないほどリラックスした状態で産院に向かいました。入院準備もイメトレも完璧、まさにチート状態(気分だけ)。翌朝から促進剤で出産準備を始めたら昼には生まれちゃうかもね、なんて笑って話していたのです。まさに「振り」というやつです。今思えば立派な伏線。翌日、勇者が華麗に回収します。
「予定通り」からまさかの想定外の連続!私の出産どうなるの!?
入院翌日、促進剤投与でついに出産が始まりました。そしてここから想定外が立て続けに発生していくのです。
想定外1:促進剤の効きが悪い!
陣痛を促す促進剤は、投与できる量が決まっています。普通なら投与量に従って陣痛が強くなっていくのですが、なぜか私は投与量MAXになっても陣痛が進まなかったのです。痛いは痛いけど呼吸で逃せるレベル。まさか痛み耐性もチート級になったのかと一瞬錯覚しましたがそんなわけありません。なんだか雲行きが怪しくなってきました。
想定外2:まさかの麻酔再トライ!
陣痛促進のため人工破水をすることになり、その前に麻酔を開始しました。背中に麻酔の管を入れるときが一番怖いのですが、終わってしまえばこっちのもの。その後は痛みのない無敵状態になれるのです。しかし保冷剤を使った麻酔効き度チェックで左足しか麻酔が効いていないことが判明。麻酔管を入れなおすというレアイベントが発生します。
想定外3:子宮口が開かない!
しかし、ここまでしても私の頑固な子宮口は全開になる素振りを見せません。助産師さん2人が全力で赤ちゃんを押し出し、それに合わせて全力でいきむ私。全員汗だくです。どれだけ頑張っても子宮口は8cmからびくともしません。麻酔で痛みは軽減されていますが、壮絶すぎてもう記憶はおぼろげです…。
想定外4:鉗子分娩って何!?
ここでようやく産科医が参加し、ラストステージもクライマックスに入ります。もう終わると安心したのも束の間、ニューアイテムがすっと取り出されました。鉗子です。名前自体は聞いたことありましたが、初めて目の当たりにした私はドン引き。分娩台から見るその姿は、そんなものを突っ込んで大丈夫!?となるほどエグい器具に見えたのです。
無事生まれるも、医師から難産認定!そしてネクストステージへ
鉗子を駆使して赤ちゃんは無事に外の世界へ誘導され、想定外の連続だったボス戦はなんとか終わりを迎えます。私は息絶え絶えでしたが、生まれた赤ちゃんにも異常はなく心から安堵しました。ただ出産当日のその時まで私は安産だと信じて疑わなかったため、このように突如として大きな不安と苦痛に直面することになったことは事実です。何ごとも備えあれば憂いなし。楽観的すぎるのも考えものです。こうして「妊娠・出産は、最後まで何が起こるかわからない」という教訓を身をもって再認識したのでした。ちなみに出産後、担当の産科医からは「いやぁ、難産だったね!どういうことなの!?笑」と貴重なお言葉を頂いております。いやいや、それ私のセリフ!!
出産はこれで終わりとなりますが、もちろんこれは物語の始まりにすぎません。そうです、これから『第2章 育児』が始まるのです。TO BE CONTINUED…(千葉県在住R様の体験談)
※この記事は個人の体験談です。
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